商店街アーケードの色


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新潟市上古町 2008年

 

新潟県上古町(かみふるまち)の色彩ワークショップ『上古町のお色直し』

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梅雨時、天候が心配されましたが、当日は雲ひとつない快晴。
おまけに湿度も低く、さわやかな風が吹き抜け…と、絶好の塗装日和でした。
まず室内の会場で4つのグループに分かれ、アーケードの色を考えました。

ここではCグループを例に当日の流れをご説明します。
Cグループは、三組の親子、総勢9名。
小学校一年生3人のおとこの子は、同じクラスの大の仲良しです。
みんなの意見をまとめ、ひとりの子のパッチワークのようなスケッチが選ばれました。

さっそく、 日塗工の品番に読み替えた色を係りの方へ連絡。
現場近くで待機している塗装屋さんが、ペンキの調合にかかります。
アーケードへ行ってみると、立派な足場が組んでありました。

これは子どもにはちょっと無理、ということでお父さん達の出番。
『…こんなことやるって聞いてないよ~』とブツブツ言いながらも、
ヘルメットを被って足場を登ると、下の子供たちからは『パパ頑張って!』の声援が。
アーケードの折板に合わせて、3色をランダムな幅で塗り分けて行きます。

下で見ている子供達は、もう塗りたくて塗りたくて仕方がありません。
そこへ、やっと柱用のペンキが到着。
刷毛を奪い合うようにして塗りはじめました。

当然、全身はペンキだらけに…。
お母さんはすかさず、バンダナを取り出しキュキュッと海賊巻きに。
みな姿も本格的なペインターの様になってきました。

刷毛のムラが出来たところは、ローラーできれいに伸ばします。
お昼休憩をはさんで、二度目の塗装開始。
笠木の部分を白で統一し、明るく軽快な印象になりました。
このグループは終了時刻予定よりも大分早く完成です。

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最後に、もう一度室内の会場に集合してグループ毎のプレゼンテーション。
でも、子供たちにとっては、そんなの関係ないっ!
だって、好きな色塗っただけだもん…。
それでも、最後は皆の前で

『5色使ったからゴレンジャーッ!!』

と元気よく発表することができました。

このアーケードは、来月取り壊して新しいアーケードの建設に入ります。
ところどころお色直ししたアーケードが見られるのは、わずか一か月くらいの間です。
今回、子供たちの選んだ色は、明るく楽しげで、華やかさが感じられました。
ところが、実際160メートルにも及ぶアーケード全体と各店舗のファサードとの関係、
さらには商店街の先に見える神社の赤い鳥居をシンボリックに見せることを考えていけば、
新設されるアーケードには、自ずと穏やかで飽きの来ない低彩度色が合うのでは思います。

この子達が今の段階で、『景観』という言葉を知る由もありませんが。
でも、単純に色に親しみ・楽しむという体験が、彼らの記憶に残り、
将来自分たちのまちの景色をまもり・つくり・育てることに繋がって行けば良いなと思いました。
そのための仕掛けづくりを、これからも考えて行きたいと思います。

08.06.18 CLIMAT

※このワークショップの様子は、地元の新聞【新潟日報】にも掲載されました。
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