ブランズ東雲


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所在地:東京都文京区
年度:2012年竣工
事業主:東急不動産株式会社
設計・監理:IAO竹田設計
外観色彩デザイン及びコミュニティ・パティオ ランドスケープデザイン :クリマ

 

弊社で外観色彩デザイン及びコミュニティ・パティオのランドスケープデザイン を手がけました
ブランズ東雲が、【近代建築】2011年1月号に掲載されました。

 

以下【近代建築2011年1月号】掲載記事より抜粋

 

外観デザインについて

●ファサードはコミュニティパティオの緑を映し出すキャンバス
シンプルなアウトフレームのシルエットを生かすこと、湾岸のすがすがしさにふさわしくあることを意識し、基調色にはオフホワイト色を選定した。居住者を温かく迎えるコミュニティパティオの豊かな緑は、背景となるファサードに美しい影絵を描く。環境において主役となるべきは、人工の建築物ではなく日々刻々と、そして季節の変化を毎日の暮らしの中で豊かな自然であるべき。そのような考えのもと、永く暮らしを支える環境の基盤とも言える住宅の外装基調色は、飽きの来ないベーシックな色彩を選定した。

●デザインしたのは色そのものでなく、素材や質感
ファサードに展開した白は単調で淡泊な白ではなく、“表情のある白”。タイルの表面には筋状の文様が入っており、横目・縦目を2:1の割合でストライプ状に貼り分けている。下から見上げたり建物に近付いたりした時に、遠目で見た時の印象とは異なる、繊細で豊かな変化を生み出す。シンプルで美しい整形なシルエットを彩る白は、近寄ると光線の具合により白に微妙な陰影を与え、シンプルながらも深い味わいのある外観をつくり出すことであろう。

●光と風をうけ輝く木の葉
南側ファサードのアクセントとなっている“フィン”は、上へと伸びる樹木の木の葉をイメージしたものである。光と風を浴び、透き通るように輝く木の葉。深い森の緑は豊かな大地の生命力そのもの。森の緑は上昇するほどに明るく軽やかに、そして透明感を増し、空へ溶け込み消えて行く。高層住宅が建ち並ぶ東雲エリアにおいてブランズ東雲は、居住者だけではなく、多くの道行く人々に“眺められる”ことになるため、晴海通りを往き来する人や車の目線も意識し、“動きのある色彩(=段階的に変化するグラデーション)”を展開した。見る角度や位置により、シンプルなファサードがハッとするような輝きや奥行きをもたらしたり、見慣れた風景が新鮮に見えたり。そうした日常の中のさりげないけれど確かな輝きに、グリーン~ホワイトへ変化するアクセント・フィンが彩りを添えている。

 

コミュニティパティオ ランドスケープデザインについて

●豊かで多様な隙間を生み出すための配置計画
コミュニティパティオの配置は住棟に対し軸線を30度、傾けている。これは人々の駅からの動線に配慮し、サブエントランスに最もスムーズに導くことのできる角度であると同時に、ほぼ整形な空間の中に“多様な隙間”を生み出すことを意図した結果である。居住者がゲートを抜けた際、シーズンズウォークの先に見えるのは住棟の壁面ではなく、秋に色づく落葉樹。住棟との接点にズレを設けることで、パティオ内の快適性を高めることとした。 緑に見守られながら、そして季節の変化を楽しみながらゆっくりとアプローチを歩いて欲しい。子どもたちが見つけ出したお気に入りの場所が、いつの日か原風景へと移り変わる。そんな願いを込めて、多様な隙間を生みだすための配置計画を検討した。 コミュニティパティオのコンセプト ~外構デザインの考え方 緑豊かな中庭をつくる…このテーマに応えるため、私達は3つのテーマを掲げた。

(1)使う庭・育つ庭をつくる 家族の成長に合わせ、パティオの緑が豊かに育ち、そして空間の使われ方も、住み手の成長と共に自然に変化して行く。そんな柔軟性と多様性のある空間を考えた。広場に既成の遊具等を置くことは手軽な方法だが、子どもはすぐに大きくなり、遊び方もどんどん変わっていく。様々な使い方のできる場をつくることを目指し、フレキシビリティの高い空間構成を目指した。

(2)行為を誘発する場をつくる 敷地内には趣の異なるいくつかの起伏を用意した。ちょっと一息つきたくなる、子供が思わず走り出したくなる、かくれんぼが出来る…。それぞれのシーンがゆるやかにつながり、どこに居ても居心地が良い。大人も子どもも、それぞれのスタイルで“それぞれの楽しみ方”を発見出来る空間の創出を目指した。モノで空間を演出するのではなく、行為に寄り添う場をつくる。多様な楽しみ方を誘発する仕掛けとして、 “プレイデッキ”や“サークルベンチ”、“秘密の抜け道”を用意している。

(3)季節を楽しむ庭をつくる 天気の良い日の外ランチ、七夕、ビアパーティ、落ち葉を使ったリースづくり。庭で楽しむ、四季折々の楽しい遊び。腰を下ろせるベンチさえあれば、そこはいつでもサロンであり、コミュニティ・スペースとして活用することが出来る。プレイデッキや水路、ベンチ等、パティオを構成するエレメントは、いずれも天然石材や再生木デッキ等、自然と調和の図りやすい素材の組合せとした。樹木や草花の色彩を引き立てるこれらの素材が、人々のアクティビティをも魅力的に映えさせる舞台となれば幸いである。

 

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