中国はいずれの都市も建築ラッシュである。特に北京オリンピックの開催決定以降は、その速度が大変なスピートで加速しつつある。
世界各国から多くの観光客が訪れるようになったことで注目度が高まり、国を上げて世界に誇れるまちづくりを目指し、様々な開発が進められている。
大同市は世界遺産に登録された石窟があり、観光資源に恵まれた都市である。私達はそのようなまちの個性を生かした色彩ガイドラインを作成するべく、様々な視点から環境色彩調査を行った。
色値の範囲を決めた色彩基準だけではなく、行政による指導・誘導がよりスムーズに進められるよう、『大同150色』を選定し、都市計画の景観類型に合わせ、具体的な配色方法を盛り込んだパンフレットを作成した。
大同150色は基調色・補助色・ストリートファニチャー・広告色・大同テーマカラーにより構成されている。これらは環境色彩調査のデータから、景観の阻害要因となっている高彩度色や、人工的な印象を強調している寒色系の中彩度色などを省き、色彩調和が容易に構成できるよう、色相幅や明度の段階を入念に検証し、選定したものである。この150色を景観類型と呼ばれる都市計画の分類に合わせ、建築物の用途に合わせた具体的な配色例を作成している。
大同市では色彩の専門家による監理やアドバイスといった経験・実績が乏しいことから、行政の担当者が計画を推進することとなる。そのためガイドラインでは応用の部分に力を入れ、建築の規模や用途、エリアに応じ適切に素材・色彩を選定できるような仕組みづくりを検討した。