シンプルな配色で建物の意匠を印象的に見せる
武蔵浦和駅から徒歩10分程度の閑静な住宅街に位置する浦和別所ハイツは、4、5階建ての中層7棟で構成された団地である。比較的整形な東西にやや長い敷地は西側から東側へと徐々に高くなる緩やかな傾斜があり、敷地を取り囲むように住棟が配置された囲み型の住棟配置になっている。
既存の住棟外壁は明るい白を基調とした単色配色で、やや色みのはっきりした青い手摺子の青と赤茶色の屋根がアクセントとなっていた。外壁面の施された深めの横目地が、白い壁面に整然と入っており、単色配色ながらさりげないストライプが上品な印象を与えており、さらに住棟の意匠も凹凸が明確でシンプルかつ統一感の感じられるものである。
そこで改修計画においては、シンプルな意匠を印象的に見せるため、使用色の数を減らし、光の陰影によって建物の凹凸や目地のストライプが浮かび上がるような配色を目指した。
外壁は2.5Y(イエロー)系の明るい白で統一し、屋根や手摺子も鮮やかさを抑えた色にすることで色が主張し過ぎない配色とした。使用する色彩の色相も整理し、2.5Y系と5PB(パープルブルー)系に集約し、色相の幅が大きくならないようにした。
一部階段室の吹抜部分には穏やかな明度差の3色をグラデーション上に展開し、適度な変化も演出した。
全体の外観の色みを抑えたことで、全体的な色彩的調和が生まれ、色が主張し過ぎず、より洗練された建物の意匠が印象的に見えるようになったと思う。