大同市環境色彩ガイドライン


中国 山西省

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1500年余の歴史を持つ雲崗石窟をはじめとした大同の景観資源。大同の歴史ある風景を守り、育てていくために、色彩による景観のコントロールが着々と進行しています。 

加速化する都市開発と見直される景観資源

中国はいずれの都市も建築ラッシュです。特に北京オリンピックの開催決定以降は、その速度が大変なスピートで加速しつつあります。世界各国から多くの観光客が訪れるようになり、世界に誇れるまちづくりを目指して、様々な開発が進められています。大同市は世界遺産に登録された石窟があり、観光資源に恵まれた都市です。私達はそのようなまちの個性を生かした色彩ガイドラインを作成するべく、様々な視点から環境色彩調査を行いました。
色値の範囲を決めた色彩基準だけではなく、行政による指導・誘導がよりスムーズに進められるよう、『大同150色』を選定し、都市計画の景観類型に合わせ、具体的な配色方法を盛り込んだパンフレットを作成しました。

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歴史地区を含め市全体に渡り、色彩調査を実施しました。基調色の多くは低彩度色が中心でした。

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市街地には、高彩度色の建物が多数見られ、樹木や趣ある歴史的建造物の魅力が損なわれていました。

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無秩序に掲出された看板群が歴史的町並みにそぐわない雑多な印象を生み出していました。

 

5つの景観類型に対応した配色システムの展開

大同150色は基調色・補助色・ストリートファニチャー・広告色・大同テーマカラーにより構成されています。

これらは環境色彩調査のデータから、景観の阻害要因となっている高彩度色や、人工的な印象を強調している寒色系の中彩度色などを省き、色彩調和が容易に構成できるよう、色相幅や明度の段階を入念に検証し、選定したものです。
この150色を景観類型と呼ばれる都市計画の分類に合わせ、建築物の用途に合わせた具体的な配色例を作成しています。
大同の色彩ガイドラインでは、このように応用の部分にも力を入れており、ガイドラインが広く有効に活用されるような仕組みづくりを行っています。

 

07ガイドラインの一部より抜粋

 

09ガイドライン報告会の様子

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大同テーマカラーの5色を使ったバナー。ガイドラインの報告会の際、展示に使われました。

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報告会では、報告書からピックアップした調査の結果や提案をパネル展示しました。

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展示パネルの一部:大同で採取した土をレイアウトしてあります。