外装色彩計画


クリマが考える建築・構造物の外装色彩

 

色彩的な調和感をつくり出す

私達が最も大切だと考えているのは、周辺環境との関係性を読み解くということです。色の良し悪しは単独で決定づけられるのではなく、常に周囲との相対的な関係によるものだからです。
色彩的な調和感を生み出すために基調色、補助色、強調色の関係が明確なカラーシステムを構築し、建築・構造物の用途・規模等様々な条件を検討しながら、その環境にふさわしい色彩を選択します。

 

人々の活動や自然の緑を生き生きと美しく見せる

まちで主役となるべきは、そこで毎日の暮らしを営む生活者であると考えます。その暮らしを支え、潤いや安らぎをもたらすのは自然の緑や草花です。都市部であれば尚更、街路樹や広場の緑は快適な環境作づくりに欠かせない存在となっています。
強い色彩で個の主張をいたずらに競い合うのではなく、人々の営みや自然の四季の変化が映えるまちなみをつくり出したいと考えています。

 

まちの賑わいや活気の創出に寄与する

統一感を強調するあまり、単調で均質な景観になってしまっては、良好な景観とは言えません。ある時には積極的に多色を用い、細やかな分節を施すことで賑わいの創出に寄与出したり、全体のバランスの中で、強調し雰囲気をつくり出してい行く等、計画事例毎に様々な試みを検討しています。

 

設計者とのデザインコラボレーションによる質の高い色彩デザインの実現

実施設計レベルの色彩計画において、建築設計者とのデザイン調整は不可欠な作業です。デザインコラボレーションと呼ばれるこの手法は、専門家達が計画から完成まで、一貫してデザインの方針を共有していることが最大の特徴です。

それぞれが、自らのしたいことをするのではなく、すべきことをする。完成度の高いデザインの具現化に向けて、常に柔軟な姿勢を持ってプロジェクトに取り組んでいます。

 

大規模大開発におけるカラーシステム

 

再開発事業等におけるシステムデザインと色彩調整

自治体のガイドラインほど規模は大きくありませんが、近年盛んな駅前周辺の再開発や、大規模団地の建替え事業等において総合的な色彩のコントロールを行う例も多くなりました。 様々な事業者が集う再開発事業では、そのプロジェクト独自のルールがつくられます。更に相互の設計デザインを調整する場が設けられ、建築やランドスケープの専門家が第三者として協議に加わり、デザイン決定に承認が必要となる場合もあります。 私達はこのようなプロジェクトにおいて色彩計画の基準づくりに関わることはもとより、アドヴァイザーとしての参画や、事業者側の計画設計者として実務に携わる場合もあります。 いずれの場合も、全体と個、それぞれの視点においてすべきことを意識しながら、計画に総合的に関わることの意義を形にして行きたいと考えています。

 

団地修繕のための色彩計画 

昭和30~40年代に建設された、都内及び近郊の団地は、10数年おきの修繕を繰り返しながら、今も多くの人々の暮らしを支え続けています。弊社では近年、このような団地の修繕の際、色彩計画に携わっています。 大規模な団地では修繕の期間が長期にわたったり、数年ごとに行われる場合があります。団地修繕のためのカラーシステム・デザインは、そのような時間の経過にも対応できるよう、全住棟の配棟配色を検討すると共に、配色システムの標準化など、計画がスムーズかつ確実に実現するための手法を構築し、実践してきました。 修繕は建築形状の変更や増築がないため、全体のボリュームや規模には変化はありませんが、色彩が変わると環境が変わる、という事例としてはその効果の程がよく表れていると思います。

 

>クリマ カラーシステムデザイン事例

 

外装色彩計画の流れ

 

・自治体の条例や地域のまちづくり方針の確認をします。

・プロジェクトのコンセプトや建築の基本計画を確認します。

flow_ex01

・計画地周辺の色彩環境を把握するために、外壁色の色彩調査を実施します。

・その地域特有の特徴的な意匠や素材の有無等も探求します。

・郊外型の物件の場合、周辺の自然環境も色彩調査の対象となります。

flow_ex02

・物件のコンセプトや色彩調査の資料から、イメージキーワードやカラーイメージの抽出を行います。

・デザインのモチーフとなる意匠や素材を抽出します。

flow_ex03

・物件コンセプトや建築デザインとの関係性を十分に検証し、プロジェクト全体のデザイン方針を明確にします。

flow_ex04

・色分けの位置や素材の切り替えなど、建築の形態に添ったデザインを検証します。

・部位ごとの素材の検討も同時に行い、仕様仕上げ一覧を作成します。

flow_ex05

・素材の質感や形状を生かしたデザインを検討するとともに、アクセントの必要性等、より詳細な検証を行います。

flow_ex06

・外装仕上材のほか、サッシや手摺等の金属類をはじめ使用する部材は全て揃えた上で、相互のバランスを調整していきます。

・タイル合わせの塗装色や軒天井・樋の色など、屋外に出てくる設備機器類の色彩も調整します。

flow_ex07

・施工が進む中で発生する仕様やメーカーの変更、さらに納まり上の問題点については、適宜対応を行います。

flow_ex08

・計画案の通りに色彩デザインが実現されているかを、設計者・計画担当者等を交えて検証を行います。

flow_ex09